マメンスク物語 "恐れの沼に棲むモノたち"
[2015ハロウィーン特別編]
このお話は、マメンスク物語の本編では語られない、恐れの沼にまつわるお話です。
狭間の森の北西には”魔女の村”があります。村を訪れるには、村に向かう途中にある、
険しい岩山を登らねばなりませんでした。
そして、険しい岩山への道を塞いでいるのが”恐れの沼”でした。
恐れの沼には”恐れ樹(おそれじゅ)”が立ち並び、通るモノの行く手をはばみます。
その辺りのお話は、また本編で楽しんでいただくとして・・・
今日は、その”恐れ樹”をねぐらにしているおばけたち”ズロースチとローシ”のお話を
いたしましょう。
(右)ズロースチ (左)ローシ |
意地悪おばけのズロースチと嘘つきおばけのローシ。
黒いほうがズロースチ、こげ茶色はローシ。
実はふたりは、マメンスクと同じように、ヒトの思いの種として狭間の森に飛んできました。
しかし、マメンスクと違ったのは、蝶たちのいる”眠りの丘”に降りることが出来ず、この”恐れの沼”に飛ばされてしまったことでした。
なぜなら、ふたりの種を飛ばした人間が、とても悪い人たちだったからでした。
”恐れの沼”には、こういった悪い人が飛ばした心の欠片が集まってきます。
沼の底には、マメンスクになれなかった沢山の心の欠片が沈んでいて、恐れ樹たちに監視されているのでした。
ズロースチとローシの持ち主は、ふたり組の大どろぼうでした。
たくさんの人を騙して、大切なものを奪ったり盗んだりして暮らしていました。
ある日とうとう、人の命まで奪ってしまったどろぼうたちは監獄され処刑されることになってしまいました。
本当は人の命まで奪うつもりなんてなかったのに、いつも悪いことをしていると、自分たちにもしっぺ返しがやってくるということを、ようやく知ったのでした。
今まで自分たちがしたことを、いくら反省しても、もう取り返しはつきません。
いよいよ、処刑されるという日、後悔と恐怖と不安の気持ちが心の欠片として種となりました。
そうして、生まれてしまったのがズロースチとローシなのです。
持ち主が処刑されてしまったことで帰る場所すら失ってしまったふたりは、沼の底に沈むことも出来ませんでした。
ズロースチとローシはおばけとなって恐れの沼で恐れ樹の世話をしながら暮らしています。
意地悪だけど、嘘つきだけど、ちょっとマメンスクたちにイタズラしたりしちゃうけど、本当はふたりとも寂しがり屋で優しい気持ちも持っているズロースチとローシなのです。
本編では、物語の半ばを過ぎた頃に登場する予定です。